沖縄・奄美大島・米子で被害増加
刺されると猛烈なかゆみ!
ヌカカ・スケベ虫・エッチ虫・干拓虫
夏にキャンプや海水浴といったアウトドアをしていると、知らないうちに虫に刺されてかゆみが出ることがよくあります。蚊に刺されちゃったよ~と思って気にせず過ごしていたら、なかなかかゆみが引かない時があるんですよね。私の場合、関西の自宅で蚊に刺された時はせいぜい30分~1時間もすればかゆみが治まるんですが、沖縄や奄美で蚊(と思っていた)に刺された時に猛烈にかゆくて、刺された場所が一週間以上かゆい!なんてことがあります。
実はこのかゆみ、近年被害が増加中の「スケベ虫」に刺されていました。
スケベ虫とは?
スケベ虫ってふざけた名前ですが、なかなか厄介な奴で蚊と同じく吸血害虫なのです。
その正体は、ハエの仲間で「ヌカカ」といい、糠粒のように小さいことから「糠蚊(ヌカカ)」と書きます。体長が1~2ミリの小さな虫で、網戸もすり抜けてしまいます。
そして、ヌカカという名前があるのに何故スケベ虫と呼ばれているかというと、1~2ミリと凄く小さい虫なので気付かないうちに服の下に潜り込んできて刺すからなんです。農作業で長袖・長ズボンを着ていても容赦なく服の中に入り込んで刺してくるし、耳の中を刺されて化膿して入院した人もいるようです。
網戸もすり抜けてしまう小ささなので虫刺されを予防するのがなかなか難しい上に、生態もまだよく分かっていない虫なんですよね。
国内で確定しているヌカカは現時点で224種類。山間部から海沿いまで、さまざまな環境に生息するヌカカがいます。
刺されたときの症状
ヌカカに刺されると、刺された場所が赤くなり、かゆみや腫れが1週間以上続きます。
蚊に刺された時と似た感じで赤く腫れてかゆいから最初は蚊に刺されたと思いがちですが、蚊のかゆみと段違いにかゆくて、赤みもなかなか引かないのです。そんな痒みが出た場合は蚊ではなくヌカカ(スケベ虫)の可能性があります。
蚊だと飛んでる音で気がついたり、刺された瞬間にチクっとするからパチンと叩けるんですが、スケベ虫はいつ刺されたのかが分からない。というのも、遅延反応型のかゆみなので刺されて時間が経ってからかゆみが出始めます。刺された時が分からないので何に刺されたかが分かりにくく、痒みが猛烈な上に1週間も痒いからタチが悪いのです。人によっては痒みが1ヶ月続く場合もあります。
私がヌカカの存在を知らなかった時は、「温暖地域の蚊は見た目もちょっと大きいしタフそうだから刺されたらかゆみがキツイよねー!」と友達と言い合って、旅行中ずっと掻いてた時がありました。
今思えば、上下ラッシュガードを着てバッチリ日焼け&クラゲ対策をして海水浴をしているにもかかわらず、いつのまにか足首や腕周りがポツポツと赤く腫れて猛烈な痒みが出てきた時がありました。刺された一部は水ぶくれみたいになっているヶ所もあったから、てっきりクラゲに刺されたと思いこんでました。でも肌を一切露出せずに海に入っていてマリンブーツまで履いてたから足首をクラゲに刺されるなんてありえない。ほんと不思議で仕方なかったんです。きっと砂浜でくつろいでたときにスケベ虫に刺されてたんだと思います。このときは旅行の間ずっとかゆくて、旅行後もまだかゆかったから1週間以上かゆみが出てました。一度刺されるとあの忌ま忌ましいほどの痒みは二度と味わいたくなくなります。
ヌカカの写真や刺された時の写真が「宮の森スキンケア診療室の医院長ブログ」に載ってましたので気になる方はご覧下さい。
発生時期
ヌカカの種類によって発生時期は微妙に異なるようですが、だいたい春から秋にかけて水辺に発生し、人だけでなく家畜の血も吸います。もっとも活動的なのは6月の梅雨時期から9月頃にかけてで、集団で飛んでいることが多いので一度に何ヵ所も刺されることもあります。私も一度に何カ所も刺されました。
ヌカカは海岸・池・田んぼ・川辺など広範囲の水辺の石や草などに卵を産みます。そして孵化した幼虫はそのまま水辺の泥土の中で成長するので、その水辺付近に大量発生します。
ヌカカの発生時期は地域によっても違うようで、沖縄県久米島では2~5月がピークで海草のアーサを採るときに被害に遭いやすいので地元で「アーサ虫」と呼ばれています。
奄美大島や加計呂麻島で確認されているのもヌカカの一種で、トクナガクロヌカカの亜種のようです。こちらは3月末~5月初旬が発生のピーク。その時期は住民は耳に綿を詰めたり、風呂敷を頭にかぶったりして外出する人もいるとか。私は奄美大島で9月でも刺されたんで、海水浴シーズン中は油断できません。
また、鳥取県米子市弓浜地区でも毎年5月から6月に最盛期を迎えるといいます。ここでは干拓工事が行われた湖や中海側で多く見られるので「干拓虫」と呼ばれています。調査に協力した皮膚科では5~7月で延べ225人も被害があった報告があります。
虫除け対策
生態や発生源がまだ掴めてない虫なので確固たる対策がないのが現状のようですが、鳥取県米子市の調査では、トクナガクロヌカカとイソヌカカの2種類が確認されていて、吸血するのは雌と判明しています。これは蚊と同じですね。
朝や夕方、雨上がりの無風の日に多く飛び回る傾向があり、荒廃農地などに幼虫が生息していることも分かったらしいです。特に朝方は活発化するようなので、この条件下で浜辺での作業や海遊びをするときは要注意ですね。幸いにもヌカカの飛行能力は低いので、風が強いときは被害にあうリスクも低くなるとか。
ヌカカが発生する地域では駆除を検討するも、発生源が特定しにくく生息場所とみられる海岸近くの砂地に薬剤を散布するとなると環境への影響も考慮しないといけないため、すぐには対応が難しいようです。
まずは虫よけスプレーが有効とのこと。
色んな虫よけスプレーが市販されていますが、生後6カ月未満の赤ちゃんには使用が禁止されているものや、12歳未満の子どもには1日に使用できる回数が制限されているものもあるので、使用上の注意を確認して使う必要があります。
フマキラーさんによると、「虫よけバリアスプレー アミ戸窓ガラス 」を家の網戸にスプレーしておくと速効殺虫成分(フタルスリン)と持続殺虫成分(シフルトリン)の働きでスケベ虫の侵入を防いでくれるとのこと。
家の中で見つけたら「コバエワンプッシュ プレミアム」でスプレーを噴射するだけでスケベ虫をまとめて退治できるようです。
私も今年の沖縄・奄美旅行の時は防虫スプレーを持っていくことにします。
刺されたときの対策
●刺された場所を洗浄し、保冷剤などで冷やしてかゆみを抑える。
スケベ虫が刺して皮膚に注入する唾液成分がかゆみの原因になるので、その分泌成分を絞り出して洗い流すと痒みが和らぎやすくなります。また、体を温めると血流が良くなってしまうので痒みがより増す傾向があります。
●掻かない
刺された部分が痒くなるのはヒスタミンという痒み物質が分泌されるためで、掻いてしまとヒスタミンが多く分泌されて痒みが強くなります。症状が悪化してしまうので痒くてもなるべく掻かないようにするのがポイント。
●ポイズンリムーバーで毒を吸い出すといった応急処置も有効とのことですが、ヌカカに刺されてすぐに痒みが出るわけではないので、痒みが出てからポイズンリムーバーを使っても時既に遅しな気がします。でも刺された時に気づいてすぐに毒素を吸い出せば症状が和らぎそうです。
●市販のかゆみ止め薬が効かなければ、皮膚科で受診。
かゆみの強さに応じた薬が処方されます。かきむしると化膿する場合があるから要注意です。
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